警鐘(上) (講談社文庫)

警鐘(上) (講談社文庫)

警鐘(下) (講談社文庫)

警鐘(下) (講談社文庫)

リー・チャイルドという作家は簡単に理解できるが、リー・チャイルドを挙揚する人間の気持ちは全く理解できない。

『アウトロー(上下)』に関しても読んだ直後の高揚感を落とし込んだ書評を書いたしそれはそれで別段貶されるべきものではない。が、が、が、その高揚感がなんだというのか。リー・チャイルドとはいわばアメリカ的なおバカで野蛮で自分の正しさに疑問を感じない「感性のなさ」を売り物にしている作家である。確かにその技巧、ひいてはエンターテイメントとしての完成度には目を見張るが、この作家が巨匠として認められる世界にあって世の小説家(ミステリ作家)は彼の者に巨匠の名を譲ってしまった己を恥じるべきではないか。何が言いたいかというと、自分にはバカでマッチョなアメリカ人の血は流れていないというポジショントークの言い訳でありました。