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- 作者: ハドリー・チェイス,小笠原豊樹
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1965/01
- メディア: 文庫
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1959年本作発表時、ハドリー・チェイスはフランスに宅を構えていたはずである。
となればその時代のフランスにおいて自ずから連想できるものはヌーヴェルヴァーグ。その代表的な作品『勝手にしやがれ』がアンチ・クライマックスの作品であり、その文法が例えばハードボイルドに代表される「文学」ではなく、『拳銃魔』に代表されるフィルム・ノワールの作品群に、あるいはニコラス・レイの諸作品であるなどの映画作品の影響下にあったことを考えれば、同様にアンチ・クライマックスを得意としたハドリー・チェイス(中期以降)も文学作品を通してではなく映画作品を通してその文法を確立させていった作家と考えても中らずといえども遠からずではないか。
当然ながら、ディヴィッド・グーディスと同系列の作家と考えてもよいのではと思う。
『ミス・ブランディッシの蘭』等々の初期作品はまた別ね。
にゃんにゃん。