八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)

八百万の死にざま (ハヤカワ・ミステリ文庫)


で、この巻では我らがスカダーの禁酒と、それに至るまでの動向が描かれることになる。
禁酒するということはスカダーが正義という名の鎧を剥ぎ取ることを示している。罰を与える正義の執行者というだけではなくなるということだ。
その結果何が起こるのかというと、立場の変換である。都市という環境を一歩引いた視点で見る正義という立場から都市、つまり八百万に溶け込む罰をも与えられる立場になる。
つまり”私はほんとうに人類にかかわっているのか?”という疑問に一応のピリオドを打つことになる。
自分がアル中であることを認め、許しを請うラストシーンなどは感無量。