慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

慈悲深い死 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)


原題は「OUT OF THE CUTTING EDGE」。禁酒を続けていた男が一回の飲酒のためにまた酒におぼれてしまう、という話を聞いてマットが「彼もまた刃の切っ先に立っているんだ」という場面があるのだけれど、それを受けてのことだろうと思う。だがメインテーマとしては慈悲深い死、いいタイトルだと思う。
今回は泣かせに来る。どうしようもなく平凡な話を二つ組み合わせただけのものなのだけれども、場面展開がすばらしい。ヒロイン役のウィラがコーヒードリップを買ってきた、なんて話をするときには話の深部に触れるので詳細は割愛するが、なんていうか、悶絶。