公園には誰もいない (講談社文庫)

公園には誰もいない (講談社文庫)


真木三部作の第二作。
そもそもがウィチャリー家への返答として書かれたものらしく、家族の崩壊とその悲劇について抑制の効いた筆致で描かれる。
そんな真木を突き動かすものは純粋な怒りである。事件に関係した者へと、そして全ての報われなかった者を代弁する怒り。
P.184「わたしは家庭の雰囲気が苦手」で「何故か逃げ出したくなる」であるにもかかわらず、家族の崩壊に対し怒りを持つ。苦手だというのは己がまともな家庭を持っていないことからくる罪悪感であり、その自分の持てない家庭を自らの無感性さから壊してしまう者に対し怒りを持ってしまう、ということであろう。
泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)

泳ぐのに、安全でも適切でもありません (集英社文庫)


主人公の女性たちは順列組み合わせ的な像であるが、共通項としては恋愛によって、その形がどんな形であったにせよ自分が幸福である、あるいは幸福であった、と主張することである。そこが悲しい。(悲しい、という単語は実際には最後の「愛しいひとが〜」に一回しか登場しない)
あとはそうだなあ、女性と女性の関係が妙にぎくしゃくするところとか。